形而上絵画の創始者で、後のシュールレアリスム(超現実主義)運動にも大きな影響を与えたデ・キリコ。彼の作品(絵画も彫刻も)を貫くのは、卵型の頭、紡錘形の脚、螺旋になった腕をもった人体である。この彫刻もこのような人体の組み合わせによる、いかにもデ・キリコらしい作品といえる。また作品の主題であるギリシャ神話も、ギリシャに生まれ育った彼が得意とした題材である。
1888年、イタリア人の両親のもと、ギリシャに生まれる。18歳でミュンヘンに渡り、王立美術学校に学んだ。この時代にニーチェの哲学やドイツ・ロマン派の影響を受け、現実の事物の背後にあるメタフィジカル(形而上的)な領域を探った。しかし1920年ころ作風は一変し、マチエールへの関心が強まり古典的様式に近づいていった。1978年没。